JPPAは、2011年4月1日に一般社団法人の認可を受け、養豚生産者のみを正会員とする団体となりました。
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ごあいさつ

 お蔭様で組織一本化した新生 社団法人 日本養豚協会(JPPA)の記念すべき最初の通常総会を無事終えることが出来ました。

 思い起こせば、平成15年のメキシコとのFTA交渉時に、養豚組織を一本にして日本の養豚産業が海外に負けないよう、しっかりした生産基盤を構築していこうとスローガンを掲げたのが始まりでした。
 
 そして2年前から、養豚組織の一本化に向けて2つの団体が日本養豚の将来を方向付けする大激論を交わし、ようやく本年4月に(社)日本養豚協会と日本養豚生産者協議会が一本化され、新たなスタートを切り早4ヶ月が過ぎようとしています。


 この1年間は、昨年7月以降の長期的な豚価低迷、今年4月の口蹄疫発生という今まで経験のない、我が国養豚産業の存続に関る大きな試練にみまわれました。口蹄疫は宮崎県の畜産農家の牛・豚約29万頭の殺処分により、ようやく終息に向かうこととなりましたが、この間、会員の皆様はもとより、各方面の関係者の皆様から物心両面で多大なるご協力を頂きましたことを、心より感謝申し上げます。お蔭様で義捐金は6800万円を超える金額となり、8月末には被災養豚生産者へお届けいたします。

 また、昨年の豚価低迷に対しては日本養豚協会(JPPA)の活動が功を奏し、緊急対策に35億円、そして本年度のセーフティーネットである全国肉豚事業で国の補助率を従来の25%から50%へ引き上げ、予算99億円を獲得できたことは、来年度に向けての戸別所得補償制度を確立し、WTO、FTA等国際的な交渉に向けて、我が国の養豚産業の基盤を磐石にしなければならないと言う思いが通じた結果であると思います。
 
 このような活動を通して、次世代の後継者をしっかりと育て、夢のある養豚産業にすることと同時に、国民に安心・安全な豚肉を安定供給できるよう、生産基盤の確立を構築するためにも、全国6,000戸の養豚生産者全員が(社)日本養豚協会(JPPA)に参画していただき、事業目的に掲げてあります8つの事業をご理解いただきながら、日本の養豚振興を目指していかなければならないと考えています。

 より良い組織作りのために、3つのJPPAビジョンに沿った活動を進めて参りますので、皆様のご協力を宜しくお願い申し上げます。

平成22年7月
社団法人 日本養豚協会
会 長  志 澤 勝




  養豚生産者の養豚生産者のための自主自立の組織として立ち上がった(社)日本養豚協会(JPPA)は、豚肉の供給という仕事を通じ、一丸となって社会への貢献を目指す。ここに『JPPAが目指す日本養豚のビジョン』を策定し、JPPAの今後の事業推進に向けた中期的な方向性を示す。
     
 

(1)持続的に発展する養豚産業を目指す

良質な国産豚肉の供給は、消費者、国民の利益であり、そうした国民の期待に応えるためには、個々の生産者が健全な経営の下で安定的な生産・供給体制を確立するとともに、産業全体が持続的に発展していく必要がある。
JPPAは、幅広く結集する生産者の意見を集約できる体制を維持しながら、再生産可能な養豚産業の確立を目指す。

(2)希望の持てる養豚産業を目指す

養豚産業が持続的な発展を目指すためには、当面の課題にのみとらわれることなく、10年先、20年先を見つめた施策を構築し、推進する必要がある。幅広く担い手の意見を聞きながら、個々の経営においては経営基盤の整備に努め、産業全体としては規制緩和等を推し進め、自らの将来展望を切り開いていく。

(3)愛される養豚産業を目指す

我々は消費者の求める、健康に育った、安全で美味しく、安心して食べられる豚肉を、できる限りリーズナブルな価格で供給することに努め、地域における臭気などの環境問題、さらには動物福祉、食品リサイクルなど新たな課題にも積極的に対応し、社会との調和を図っていく。
     
 

(1)国際化への対応

WTOドーハ・ラウンドにおける米国やEUの自由化推進の要求水準は、日本など主要輸入国が求める要求水準との間に大きな開きがある。彼らの要求が通ることになれば、これまで国産豚肉の対外障壁として一定の機能を果たしてきた差額関税制度が、従来どおりの機能を果たし得なくなる可能性もある。制度の適正な運用を引き続き関係部署に強く求めながら、一方では有識者、関連業界、行政とも意見交換を進め、我々の産業を支えるセーフティネットの一環としての効果的な対外障壁のあり方について、研究を詰めていくものとする。

(2)生産性改善とコスト削減

輸出国との間に生産コストの大きな開きがあり、埋めがたい生産条件の差があることも現実だが、内外価格差を少しでも圧縮することは、国内マーケットにおける国産豚肉の競争力を高め、我々の経営体質強化にもつながる最も有効な手段である。(1)事故率の低減を目的とする疾病・衛生対策、(2)飼料費や薬剤費、豚舎建築等に関する規制緩和を積極的に求めていく。

(3)流通の合理化

(1)食肉処理にかかる経費の負担、(2)内蔵・皮など副生物価格、について、幅広く業界関係者と意見を交わしながら、我々の主張を実現していく必要がある。これらの問題の解決にあたってはと畜場の再編整備による稼働率の向上が鍵となる。また、格付規格の改正についても、生産現場の声を踏まえ、行政に対応を求めていくこととする。

(4)担い手の確保と育成

国内の養豚産業が、効率的な増産体制を確立して行くには、環境問題にも配慮しながら、大規模養豚と中小規模養豚がバランスをとって発展していくことが不可欠である。
規模の大小に関係なく、この産業で生業を得て社会に貢献したいと望む者のすべてが“担い手”として養豚を発展的に継続していけるよう、担い手育成のための技術、経営、衛生管理等のセミナーを積極的に実施していく。

(5)養豚の社会的役割

(1)環境対策、(2)食品リサイクルへの対応、(3)動物福祉への対応、など、社会的な課題にも対応する必要性が増している。まずは事故率の低減など、生産性の改善にもリンクする課題への対応を進めつつ、新たにコストを要する問題にも、社会的責任の一環として積極的に対応していくものとする。

     
  『ビジョン』の実現にあたっては、1人でも多くの生産者の賛同・参加による効率的なチェックオフの体制を一刻も早く実現しなければならない。一方で、行政機関との連携も必要である。農水省は、新農業基本計画の下に『養豚問題懇談会報告書』をまとめており、この中で提言されていることは、我々が『ビジョン』で指摘したことと重複する部分も少なくない。従って、様々な場面で行政とも力を合わせ、同報告書とも調和を取りながら施策を展開することで、我々の事業が目的達成に向け効率を上げられるものと考える。
多くの生産者の付託を受け、資金の拠出を基に活動する我々に、ここで示したビジョンを“絵に描いた餅”に終わらせることは許されない。会員の1人ひとりが資金を出し、声を上げ、知恵も出し、汗を流すことでのみ、我々自身の未来はひらける。
なお、この『ビジョン』は、時勢の変化に対応するため、3〜5年に1度は見直すものとする。


 

平成18年12月日本養豚生産者協議会が生産者の目線でビジョンを作成し、
そのビジョンは(社)日本養豚協会(JPPA)へ受け継がれています。



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JPPAが目指す日本養豚のビジョン

自然環境と調和し社会と融合した仕事に日々誇りを持って取り組み、国民に愛される喜びと、明日に希望の持てる養豚産業を目指して!

●ビジョン策定の目的

2006年3月24日、養豚生産者による養豚生産者のための自主自立の組織として、日本養豚生産者協議会(JPPA)は立ち上がった。国内で養豚を営むすべての生産者が規模の大小や経営形態にかかわらず、等しく個人の資格で参加できる初めての全国組織である。我々はこれから、豚肉の供給という仕事を通じて、一丸となって社会への貢献を目指していかなければならない。そのための指針として、ここに『JPPAが目指す日本養豚のビジョン』を策定する。これは、JPPAの今後の事業計画立案にあたっての中期的な方向性を示すものであり、このビジョンの下に仲間の輪を広げ、結束を強めながら一歩一歩、我々の思いを実現していく。


●3つのビジョン

(1)持続的に発展する養豚産業を目指す
良質な国産豚肉の供給は、消費者、国民の利益であり、そうした国民の期待に応えるためには、個々の生産者が健全な経営の下で安定的な生産・供給体制を確立するとともに、産業全体が持続的に発展していく必要がある。
JPPAは、幅広く結集する生産者の意見を集約できる体制を維持しながら、再生産可能な養豚産業の確立を目指す。

(2)希望の持てる養豚産業を目指す
養豚産業が持続的な発展を目指すためには、当面する課題にのみとらわれることなく、10年先、20年先を見つめた施策を構築し、推進する必要がある。幅広く担い手の意見を聞きながら、個々の経営においては経営基盤の整備に努め、産業全体としては規制緩和等を推し進め、自らの将来展望を切り開いていく。

(3)愛される養豚産業を目指す
我々は消費者の求める、健康に育った、安全で美味しく、安心して食べられる豚肉を、できる限りリーズナブルな価格で供給することに努め、地域における臭気などの環境問題、さらには動物福祉、食品リサイクルなど新たな課題にも積極的に対応し、社会との調和を図っていく。


●5つの基本方針

以上に示したビジョンに基づき、我々は直面している重要な課題を大きく5つに分類し、以下のような基本方針をもって対応していくこととする。また、それぞれの重要課題ごとに、その実現に向けた検討課題を列挙する。

(1) 国際化への対応

ガットURの決着に伴うWTO体制での自由化促進から10年が経過した。ポストURの新たな多角的貿易交渉であるドーハ・ラウンドは、農産物部門を中心に、輸出国と輸入国の利害調整、途上国と先進国の利害調整が不調に終わり、2006年度中の交渉終結という目標は期限なしで先送りされた状態となっている。豚肉に関しては、非常に厳しい対応が迫られると予想されているだけに、言わば“執行猶予”の期間が延長されたことは、一息つけた状況と言えなくもない。
しかし、こうした状況を踏まえ、WTOを補完する位置づけである2国間の自由貿易協定(FTA)を締結する動きが加速する状況も生じており、豚肉関連ではメキシコとの合意が成立した後、チリとの間で豚肉を含む農産物等の障壁削減で大筋合意に至った。現在、韓国との政府間交渉が続いているほか、大型農業国であるオーストラリアとの政府間交渉開始に向けた共同研究が大詰めをむかえており、こうした流れの下で、北米やEUなど対日主要輸出国が日本市場におけるシェア縮小に危機感を高めて攻勢を強めてくることは必至である。
現在のところ、WTOドーハ・ラウンドにおける米国やEUの自由化推進の要求水準は、日本など主要輸入国が求める要求水準との間に大きな開きがある。
もし、彼らの要求がある程度通ることになれば、これまで国産豚肉の対外障壁として一定の機能を果たしてきた差額関税制度が、従来どおりの機能を果たし得なくなる可能性もある。引き続き制度の適正な運用を関係部署に求めながら、一方では有識者、関連業界、行政とも意見交換を進め、我々の産業を支えるセーフティネットの一環としての効果的な対外障壁のあり方について研究を詰めていくものとする。また、こうした貿易問題に関する畜政活動が、経済界やマスコミから、農業のエゴとして取り上げられることも、過去にしばしば経験してきた。我々は、常日頃から消費者に顔を向けて豚肉を生産し、いざ困難な状況におかれたときには、消費者のニーズ、サポートを追い風として戦える環境づくりに努めなければならない。
●推進のための検討課題
・WTO交渉の進捗に関する農水省等との情報交換の場の常設化
・豚肉関税制度のあり方についての勉強会の設置
・豚肉輸入量としてカウントされない調整品の実態把握
・海外輸出国の動向に関する情報収集能力の強化
・原産国とともに「と畜年月日」の表示を義務づける働きかけ
・消費者との定期交流

(2)生産性改善とコスト削減

国際対応と国内対策とは、我々の産業が力強く社会に貢献する上での車の両輪であり、対外的な主張を展開しつつも、産業自体の足腰を強める努力を怠ることは許されない。
国内対策としての第一は、我々生産者の自らの努力による生産性の改善である。輸出国との間に生産コストの大きな開きがあり、埋めがたい生産条件の差があることも現実だが、内外価格差を少しでも圧縮することは、国内マーケットにおける国産豚肉の競争力を高めるとともに、我々の経営体質強化にもつながる最も有効な手段である。

1.疾病・衛生対策
なかでも緊急の課題は、疾病・衛生対策である。過去約10年の間、年間の子取り用雌豚1頭当たりと畜頭数が停滞・減少する傾向にあり、疾病による事故数が全国的に高い状態になっているという指摘を裏付けている。こうした状況は、経営にとって大きなダメージであるばかりでなく、自給率回復を目標に増産を目指す産業全体としての生産力の停滞を示すものである。さらには、国産豚肉に安全、安心をイメージする消費者の期待や信頼をも裏切るものであり、一刻も早く改善しなければならない。
高い事故率の背景には様々な要因が絡んでいるものと考えられるが、全体的な傾向としては、PRRS(豚繁殖・呼吸障害症候群)ウイルス及びPCV2(豚サーコウイルス2型)の全国的な浸潤に伴う豚の免疫力の低下、そうした状況下における様々な日和見感染症の発症、という基本的な構造があると考えられる。
JPPAとしては、協議会内に衛生部会を設け、上記の問題を重点課題の1つとして取り上げている。また、動物衛生研究所と日本養豚開業獣医師協会(JASV)との間でPRRSを中心とする慢性疾病の共同研究が立ち上がったことに呼応し、日本養豚事業協同組合等とも連携して一定の研究費を拠出することとした。JASV加盟の獣医師等の協力を得て、PRRS対策の優良事例集の制作作業も進んでいるところであり、これら一連の事業を国の家畜防疫行政とも絡めて国家プロジェクトと位置づけ、産官学の力を結集して有効な対策を確立する必要がある。
ただし、疾病問題は、農場のおかれた疾病環境、農場の豚舎環境や管理システムなどにより、他の農場での優良事例がそのまま応用できないという場面も多々ある。効果的な対策を講じるためには、獣医師の訪問・診断により農場の状態、抗体・ウイルス検査による病原微生物の動態等の把握に基づく農場ごとの処方が不可欠だが、現実に、国内の養豚獣医療体制には限界がある。まずは、経営体質の強化と消費者の信頼獲得に結びつく生産性改善、疾病対策に専門獣医師のサポートが不可欠であることを我々が広く認識し、獣医療のニーズを拡大することが、養豚獣医師の新規参入や担い手の確保に結びつくと考えられる。しかし現時点においては、限りある獣医師の人的資源を効率的に活用するしかなく、JASVの助言・協力を得ながら、地域的な取り組みのなかでの家畜保健衛生所や家畜共済との連携、JPPA(あるいはその地方団体)の意向やJASV(あるいはその参加獣医師)の専門的見解が十分反映される体制の下での家畜畜産物衛生指導協会の有効活用の方策についても議論を開始する必要がある。また、オーエスキー病については、各地域の清浄化運動を集約し、早期の全国的清浄化を目指して早急に官民一体のアクションプログラムを立ち上げなければならない。
このように生産者が主体的に獣医療の供給体制を検討し、構築していくことができれば、防疫当局との連携の下、口蹄疫や豚コレラなど、海外悪性伝染病の侵入に対する防疫体制の強化にもつながると期待される。
高い事故率、疾病問題に関しては、短絡的に農場・豚舎の“生産性”を上げようとした結果、疾病が動きやすい飼養環境を生じさせ、不適切な飼養管理が事故の原因になっているケースも決して少なくない。基本に立ち戻って、無理のない豚舎設計及びピッグフロー、正しい飼養衛生管理を実践し、若い担い手にも技術を普及していく。

2.規制緩和の推進
一方で、飼料費をはじめ、豚舎の建築コスト、ワクチン等の薬剤費、人件費など、個々の生産者の努力ではどうにもならない問題もある。これらの解決には、政府主導による農水省はじめ関連行政機関が一体となった規制改革の一層の推進が必要である。とくに飼料費については、主な原料供給地である米国でトウモロコシの豊作が続くなか、原油価格の高騰や中国の船舶需要増に伴うフレート価格の上昇、代替燃料としてのエタノール需要の急激な伸びに伴う原料トウモロコシ価格の上昇、魚粉やラクトースなど副原料価格の高騰、円安傾向の定着などにより、将来的にも上昇、高止まりの傾向が予測されている。食品リサイクル飼料の活用も含めた代替原料の可能性を研究して適正な価格での原料確保を図る一方、湾港荷役料の改善など、規制緩和を急がなければならない。
●推進のための検討課題
・生産者の防疫・衛生対策に関する意識改革のセミナー開催
・地域の対応を踏まえた全国的なAD清浄化アクションプログラムの策定
・PRRS及びPMWSに関する試験研究の促進および対策技術の普及
・養豚獣医療の供給体制構築に関する検討
・事故率低減に向けた多面的な課題の整理
・HACCP、GAP、トレサビへの対応の研究
・地域の防疫演習への参加
・疾病・衛生問題に関する農水省との定期懇談

(3)流通の合理化

2001年の国内BSE発生は、食肉卸の偽装・不当表示などの不正を呼び込み、その摘発に端を発した差額関税制度をめぐる大規模脱税事件の検挙へと発展して、食肉業界の古い体質をあぶり出しにした。一方でBSE問題は、食の安全に関わる行政機構の大変革をもたらし、これを機に、食肉の供給に関わる幅広い業界の改革が期待されるところとなっている。
我々養豚産業の周辺を見渡すと、コスト削減への社会的な要請が強まるなかで、重要な課題が、これまで手つかずであったものも含めて数多く残されている。JPPAでは、会員を対象とした大規模なアンケートを実施したが、その結果(回答者630人)、と畜場経費の負担軽減につながる格付規格の改正や内蔵価格などの見直しに、多くの生産者が大きな関心を寄せていることが明らかとなった。


1.食肉処理にかかる経費の負担
第1に、食肉処理にかかる経費の負担の問題がある。と畜料をはじめ、食肉検査の検査料、格付料、さらに場合によってはと畜後の冷蔵費用に至るまで、すべてを生産者が負担している。これらは、輸出国をはじめ諸外国においてはパッカーが負担するところが多い。これらの問題解決には、と畜場の再編整備を推し進め、その稼働率を上げる必要がある。と畜場の稼働率アップには、食肉検査体制の抜本的な見直しが不可欠であり、食の安全を十分に担保しながら効率的、合理的な検査体制で産業をサポートする体制にしていかなければならない。その過程においては、検査費用についても、公平な負担のあり方を考える必要がある。と畜料もしかり、格付料もしかりである。格付規格についても、枝肉1kg当たりのと畜経費および部分肉1kg当たりのカット段階の経費低減、さらに肉質向上のうえからも、「上」規格の枝肉重量の上限引き上げは重要な検討課題である。我々が会員を対象に実施したアンケートでは、回答者の87%が、「上」枝重上限の3kgスライドを望んでいる。
格付規格の変更には、生産現場における新たな対応も必要となるが、中長期的に見れば、生産者はもとより、流通へのメリットも小さくない。業界内部の意見集約を進めるとともに、関連団体、関連機関との調整を始める段階にきている。


2.内臓・皮など副生物価格
第2に、内臓および原皮の生産者価格の問題がある。これら副生物に対する対価は、その最終的な製品価値からして、少なすぎると言わざるを得ない。処理の手間や需要のバラつきなどの事情はあるとしても、その流通に競争の原理が働かない状態が続いている問題は小さくない。我々は、副生物業者の団体と意見を交わしながら、内臓の消費拡大等には協力・連携を進めながら障害を克服し、価格の見直しを求めていかなくてはならない。我々のアンケートでは、回答者の90%以上が、副生物の「価格決定の話し合いに参加していない」実態を明らかにしている。
●推進のための検討課題
・国際化の進展に伴う流通合理化の検討
・と畜場問題(と畜経費・検査・副生物等)の総合的な検討
・と畜場問題の改善を各地域で求めるためのガイドライン策定
・市場における枝肉の価格形成と取引の実態研究
・流通業界との役員クラスでの定期懇談の場の設置
・消費者を対象とする広汎なアンケートの実施
・内臓も含めた国産豚肉消費拡大のための運動

(4)担い手の確保と育成

新たな農業基本法の下、国の農業保護にも大きな政策転換が図られようとしている。その1つが従来型の“護送船団方式”による支援から、“担い手”にターゲットを絞った集中的な支援の方向である。養豚関連の施策においても、その対象者を「認定農業者」を中心に限定する要件が定められてきている。
我々国内の養豚産業が、国の農業基本計画にも歩調を合わせて効率的な増産体制を確立していくには、環境問題も考慮すると、大規模養豚と中小規模養豚がバランスをとって発展していくことが不可欠である。このときに、中小経営においては、スリーセブンシステムなどバッチ方式の導入あるいは複数農家の協業による機能分担と連携によるオールイン・オールアウト可能な飼養形態の確立により生産性の改善、経営効率の改善、販売体制の強化を図る必要がある。さらに、繁殖農場と離乳・肥育農場を分離したツーサイトシステムや、繁殖農場と離乳農場、肥育農場に分離したスリーサイトシステムの効果も欧米で実証されているところであり、より病気がコントロールしやすく、リスク管理の可能な、効率的な飼養形態として日本型の応用を検討していくべきだろう。
規模の大小に関係なく、この産業で生業を得て社会に貢献したいと望む者のすべてが“担い手”として養豚を発展的に継続していけるよう、JPPAとしても、担い手育成のための技術指導、経営指導、衛生管理等のセミナーや情報提供事業を積極的に実施していく。
●推進のための検討課題
・後継者、従業員など“担い手”育成のための研修システムの整備
・協業による規模拡大を目指すうえでの条件整備
・廃業農家の農場・豚舎を有効に利活用する方策の検討
・認定農業者資格の取得促進

(5)養豚の社会的役割

ここまで示した4つの項目は、養豚生産をめぐる経営環境の改善に直接、結びつくものである。しかし、様々な社会情勢の変化に伴い、我々が社会に融合して経営を継続していくうえで対応を迫られる新たな課題も出現してきている。


1.環境対策
環境対策に関しては、家畜排泄物法の制定に伴う“平成16年対応”により、素堀りおよび野積みの解消について、養豚においてもほぼ対応が完了している。ただし、この間に我々が糞尿処理対策に投じたコストは非常に大きなもので、1母豚当たり30万円前後のイニシャルコストを要し、規制の緩い輸入国との競争における大きなハンディの1つとなっている。これを今後、適正に償却、再投資していくための税制および資金調達におけるサポートは、重要なセーフティネットの1つである。
一方、JPPAでは環境問題における当面の重要課題として、臭気対策に重点的に取り組むこととしたい。豚舎周辺の宅地化に伴う地域の苦情で最も多いのが臭気問題であり、舎内からの拡散のコントロールが難しいだけに、対応しきれていないのが現状である。これまで様々な資材が投入され、脱臭・消臭の試みもなされてきたが、決定打となっているものはない。全国の優良事例を整理し、既存の技術や資材を組み合わせて効果的かつ効率的な臭気対策を確立するため、行政や試験研究機関等のサポートを得ながら研究・対策を実施していく。臭気の発生源は、主に家畜の排泄物であり、とくに尿由来の窒素が大きな役割を果たしている。アミノ酸バランスの良い低タンパク飼料の給与により余分な窒素の排泄が抑えられることは古くから知られているが、現行の飼料安全法では、タンパク源の保証値として粗タンパク質(CP)の記載しか義務づけておらず、低CP飼料の利用を遅らせてきた。BSE対応で動物性タンパク原料の利用が難しい状態が解消されない現状も踏まえ、飼料の規制にも思い切った発想の転換を促していく必要がある。また、低CP飼料と、リンゴジュース粕、ミカンジュース粕など植物繊維質を給与することで、本来は尿中に排泄される窒素分が大腸微生物の働きにより糞に転換されるという実用研究も進んでいる。これらの技術は、臭気発生源の低減につながるだけでなく、排水処理において今後問題となるアンモニアおよび硝酸性窒素等の低減にも結びつくもので、業界ぐるみでの実用化、実践に向けた取り組みを促していく必要がある。
臭気の感じ方には感情的な影響も大きいと指摘されており、周辺住民と日ごろから良好な関係を築いておくことが重要である。食育の取り組みと併せた対応を進める。


2.食品リサイクルへの対応
2001年(平成13年)5月に食品リサイクル法が制定され、我々養豚生産者にも、食品残さの有効活用と、耕種農家への良質な堆肥の供給という両面から社会の期待が寄せられている。食品残さの飼料としての有効利用に関しては、一部の生産者がリキッドフィーディングのシステムを取り入れて、飼料コストの低減や健康な豚の発育などの効果が実証されつつある。しかし、良質なリサイクル原料を確保し、それを畜産現場で効率的に利用するうえで、環境省所轄の廃掃法に基づく産業廃棄物取り扱いに関する規制が重大な障害となっている。飼料原料として利用される食品残さを、“廃棄物”ではなく、“資源”として位置づける法整備が、消費者の理解を得るためにも不可欠である。
ただ、個々の農家でリキッドフィーディングを実施するには、その初期投資が莫大であり、小規模農家には対応が難しい。ドイツやデンマークなどのようにこれを普及するには、地域でリキッド化した飼料を供給するインフラの整備が不可欠である。既に一部では、養豚生産者と産廃業者、飼料メーカーや系統が連携したシステム作りに取り掛かっている例もあり、こうした試みを官民でサポートしていく必要がある。
また、こうした「エコフィード」への生産者、流通、消費者への理解を深めていく取り組みも必要であり、食育、環境、地産地消などのキーワードで養豚の役割を訴えていくことも、我々の仕事の1つである。
食品残さについては、直接、堆肥化してリサイクルされると、我々の畜産堆肥と競合する懸念がある。従って、そのリサイクルには飼料化を第一とする流れをつくる必要がある。ただ、この場合にも、堆肥の供給が増えることは避けられない。こうした事態を回避する1つの方向として、比較的燃焼しやすい鶏糞については、代替燃料の1つとして有効利用されるよう検討を促していく。


3.動物福祉への対応
「アニマル・ウェルフェア」、いわゆる動物福祉への畜産の対応問題は、EUを中心に世界的な潮流となりつつあり、日本でも、農水省の事業下で産業動物における対応について検討が進められている。産業動物と人間との関わりに関する欧米人と日本人の考え方の違いもあり、産業全体としては違和感の否めない問題ではあるが、広く国内の畜産業が社会に受け入れられるためには避けられないテーマとなっている。ただ、EUの規制は、対米国の差別化を狙う政治的側面もあり、その内容については日本の生産現場にそぐわない部分もある。
この問題に対してはJPPAも率先して議論をリードし、日本人の国民感情に即した独自の流れを誘導し、対応していく必要があるが、まず行うべきは、疾病対策である。事故率の高い状況を改善し、健康に豚を発育させ、出荷することが、何より優先されるアニマル・ウェルフェアの対応である。ここをクリアする段階で我々が得ることのできる利益は少なくなく、安全・安心な豚肉の供給を裏付けることにもつながる。そうしたなかで、若干の効率の低下やコストの上昇を伴う対応がさらに社会から求められるとするなら、それには積極的に対応していかなければならない。


4.食育の推進
食育は重要である。ここまで指摘した我々の産業をめぐる課題のすべてについて、消費者、社会の理解を得る必要があり、ときには支援がなければ実行には移せない。食育の範囲は、豚肉の栄養価値、適正な取り扱いや調理法に始まり、国産と輸入物の違い、ブランドの特徴など、さらには養豚産業の資源リサイクルや子供に産業動物との触れ合いの場を提供する情操教育上の役割にまで及ぶ。
我々は、単なるイメージとして訴えるピーアールにとどまらず、消費者の実益につながる情報提供の姿勢をもちながら、我々の豚肉と養豚産業についての語りかけを幅広く行っていく必要がある。こうした食育活動を効果的に行うために、消費拡大イベントやメディアを利用したピーアール活動に積極的に取り組む。
●推進のための検討課題
・全国の臭気対策の実施状況調査
・専門家を交えた臭気対策検討会の設置
・リサイクル飼料の原料となる未利用資源を廃棄物と区別する法整備の要請
・低タンパク飼料・果汁粕原料添加の実証試験・普及
・中小農家がリキッドフィードを利用できる基盤作りの検討
・鶏糞の燃料利用の提言
・動物福祉に関する業界自らの統一見解取りまとめ
・効果的な食育のあり方についての研究


●未来に向かって

JPPAは養豚生産者が自らの意思で立ち上げた、養豚生産者が個人の資格で参加できる日本で初めての本格的な自主自立の生産者団体である。ここに示したビジョンを実現していくには、安定した資金確保が不可欠であり、1人でも多くの生産者の賛同・参加による効果的なチェックオフの体制を一刻も早く実現しなければならない。引き続き、商系、系統の壁を越えて、すべての生産者の結集を目指して、地域の仲間に理解を求める運動を展開していく必要がある。そのためには、我々生産者が主体的に関与し、その意向を反映できる既存の地方組織とJPPAとが緊密な連携体制を構築していくことも重要である。
一方で、行政機関との連携も必要である。農水省は、新農業基本計画の下に『養豚問題懇談会報告書』をまとめており、このなかで提言されていることは、我々が『ビジョン』で指摘したことと重複する部分も少なくない。従って、様々な場面で行政とも力を合わせ、同報告書とも調和を取りながら施策を展開することで、我々の事業が目的達成に向け効率を上げられるものと考える。ただし、関連省庁間のいまだ埋まらない縦割りの実態、厳しい財政状況、多くの事業が細分化せれて所管される現在の官僚機構の下で、行政の事業に大きな成果は期待できない。そこで、我々が臨機応変、集中的に事業を展開して実績を上げることで、リーダーシップをとることが重要である。
多くの生産者の付託を受け、資金の拠出を基に活動する我々に、ここで示したビジョンを“絵に描いた餅”に終わらすことは許されない。会員の1人ひとりが資金を出し、声を上げ、知恵も出し、汗を流すことでのみ、我々自身の未来はひらける。なお、この『ビジョン』は、時勢の変化に対応するため、3〜5年に一度は見直すものとする。


〈参考〉日本養豚生産者協議会(JPPA)設立までの経緯

生産量はUR経てピーク時より22%減
国内養豚産業は、1989年(平成元年)に枝肉生産量のピーク(159万9809t)をむかえたが、概にこの時点で貿易自由化から18年を経過していた豚肉の輸入量は36万6045t(部分肉ベース)に達し、豚肉自給率は77%と8割を割り込んでいた。
ガット・ウルグアイラウンド(UR)においては、生産者運動の盛り上がりを受けて豚肉差額関税制度の枠組みを維持しながらも、1995年から2000年にかけて基準輸入価格および従量制の水準が15%削減されることが決定された。その後、現在(2005年実績)に至る10年の間に輸入量は95年度の53万4645tから87万9169tに64.4%も増加し、一方で自給率は62%から50%にまで下落した。主に外食・中食で使われるソーセージや惣菜など豚肉調整品に含まれる原料豚肉を合わせると、概に豚肉自給率は50%を割り込んでいるのが実態である。
こうした輸入豚肉の圧力がある一方、国内では環境対策の強化や、厳しい経営環境を背景とした後継者不足などにより生産戸数の減少には歯止めがかからず、89年に5万200戸あった戸数が、95年には1万8800戸、そして現在は7800戸にまで縮小した。経営規模の拡大は進んで国内飼養頭数は微減にとどまってきたが、それでも枝肉生産量は95年度に129万9376t、2006年度には124万2000tとなり、ピークだった89年の78%にまで減退している。


対メキシコFTAで養豚3団体が結束
2002年11月に、メキシコとの間にFTA締結に向けた政府間交渉が開始された。疾病の少ない飼養環境、安い労働力、緩い環境規制の下で我々の生産コストをはるかに下回る豚肉が無税で輸入されることになれば、国内養豚へのダメージは大きく、さらにメキシコへの譲歩が主要な対日輸出国を刺激し、今後のWTO交渉における強硬姿勢にもつながりかねないという大きな危機意識が広がった。
そこで立ち上がったのが、「養豚FTA等対策協議会」である。ここには(社)日本養豚協会、全国養豚経営者会議、日本養豚事業協同組合が参加し、既成の組織の枠を超えて生産者の団結を呼びかけ、短期間のうちに多くの消費者を含む50万人を超える署名と、養豚関係者1112人と関連業界123団体からの4300万円にのぼるカンパを集めて活発な運動を展開した。
対メキシコFTA運動のなかで我々は、政府が新しい農業基本法制定を受けて2000年(平成12年)3月に閣議決定した基本計画において「45%」という数値目標を初めて設定して食料自給率の改善を目指したことを根拠に、農業も一律に自由化を推進することこそを“国益”と主張する経済界およびマスコミの論調にも異論を唱えつつ、関税撤廃品目からの豚肉、農畜産物の除外を訴えた。生産者・関係者の団結と多くの消費者の支持をバックにして、同協議会が働きかけた対象は農水相にとどまらず、経済産業省および財務省の幹部、官邸、マスコミ、そしてメキシコの産業界および交渉団にまで及んだ。


メキシコでの成果はFTAにとどまらず国内相場にも
その結果、豚肉については5年間で8万tの特恵関税枠を提供することにはなったものの、国内養豚産業への影響は極めて軽微な譲歩にとどめることができ、農水省幹部がその“援護射撃”を評価するだけでなく、経済産業省の交渉担当者もが、養豚業界の行動力に一目を置くところとなった。
しかも、養豚FTA等対策協議会のもたらした成果はメキシコとの交渉結果にとどまらず、そのあとに露見した豚肉差額関税制度をめぐる不正に対する業界団体への断固とした抗議、財務省および関税当局に対する監視徹底の要請は、その後の大型不正の摘発と、農水省による指導の徹底を促し、食肉輸入業者全体に緊張感とコンプライアンス意識を高めさせた。その結果、もたらされたのが、輸入価格の上昇とそれに伴う国産豚肉の需要増、相場の安定であった。さらに、2006年9月14日に大筋合意に至ったチリとのFTAを含むEPA協定交渉においても、メキシコの結果を踏襲した形で豚肉の譲歩は最低限にとどまった。


FTAの成果と反省踏まえてJPPA設立
こうした対メキシコFTA運動の成果と、これまで何度となく大同団結の必要が叫ばれながら組織の一本化が実現できなかった反省とを踏まえ、幅広い生産者代表、業界関係者らが協議の場についた。そこでの2年余りの議論の末に至った結論が、“新しい生産者組織”の設立であった。こうしてJPPAは、2006年3月24日、東京都内の東京グランドホテルで行われた設立総会において、養豚生産者の養豚生産者のための自主自立の組織として立ち上がったのである。
3団体で結成した養豚FTA等対策協議会は、その剰余金をJPPAに寄付して組織を解散し、当初は既存の組織を残す方針であった全国養豚経営者会議も、35年に及ぶ経営者運動に終止符を打ち、発展的解消を断行してJPPAに再結集を期した。日本養豚事業協同組合は、経済活動を行う団体として畜政活動から離れて本来の事業に専念することとし、新たな生産者組織であるJPPAと(社)日本養豚協会とは、連携と役割分担により効果的・効率的な生産者運動を目指すこととなった。
我々の組織は、将来的には、欧米で行われているような、と畜時に出荷豚1頭ごとに一定の金額を賊課・徴収して活動資金を得る「チェックオフ」の仕組みを目指すが、当面は、母豚数等の自己申告に基づく送金によらざるを得ない(一部の県では、と畜場の協力を得て、出荷者の承諾に基づく天引き方式の賊課も行われている)。今後、本格的なチェックオフが実現できるとすれば、その集金団体としてのJPPAにも、より充実した組織体制が求められるところとなり、より長期的なビジョンをもった組織のあり方の検討も今後、進めていく必要がある。


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